背景や経緯を語る
- はじめに
-
背景を失った物事は違う意味を持って一人歩きする。事実や決定事項、結果は背景となる情報もセットで伝達してみよう。
- 要約
-
ビジネスでは要点のみをシンプルに伝えることが重要視されるが、それも使い所によって逆効果になるだろう。
1on1を上手に使えば物事の背景を丁寧に伝える有益な時間になって、日常の認識齟齬を徐々に減らすことができるだろう。 - 状況
-
-
事業や業務の方向性ややり方だけ示されたり、共有されている
-
業務の進捗だけ共有され、なぜ今の状況が発生しているか双方の理解が追いついていない
-
明確な業務要件を満たして完了したのに、根本的なニーズを満たしていない
-
実際に業務を行うメンバーや決定や結果を受け入れるメンバーの納得感が薄い
-
- 問題
-
-
決定事項に沿ったタスクをこなしたり結果が出されたものの、本来の目的に沿った結果を得られなくなる
-
ある目的に沿って業務を行ったのにも関わらず、過去に発生した問題に直面してその業務の進捗を阻害しまう
-
ルールが形骸化したまま放置されたり、形骸化したルールの見直し時にインシデントが発生してしまう
-
納得感のない業務や結果が増えることで業務全体のモチベーションが低下し、目的を達成するためのコミュニケーションの質が低下する
-
- フォース
-
-
背景を共有する意識が薄かったり、背景を共有する必要はないと考えてしまう
-
事実や結果や決定事項だけ伝えても背景は想像できるだろうと期待してしまう
-
自分はすでに背景を理解しているため、簡単な説明でしっかり相手が理解できると勘違いしてしまう
-
相手がすでに背景を知っていると思ってしまう
-
受け手がわかった気になりやすいシンプルな言葉だけを伝えたことで、わからないことが分からないまま進めてしまう
-
- 解決方法
-
-
事実や結果や決定事項を伝えた後に、なぜそうなっているのか?どんな状況なのか?事実や結果や決定事項に至るまでを説明してみる
-
事実や結果や決定事項を伝えられた側もなぜそうなっているのか?どんな状況なのか?理解ができなかった部分や納得できない部分を質問してみる
-
受け取り手が理解した内容を自分の言葉で説明し、認識の齟齬がないかを確認する
-
- 結果状況
-
-
業務内での期待値のズレが徐々に小さくなり、認識齟齬による出戻りの発生やスケジュールへの影響、人間関係の問題を減らすことができる
-
簡潔な言葉では伝わりにくい、細かなニーズを満たす事柄に対する確認や提案が業務全体で増える
-
- 使用例
-
Aさんは「今の作業に何の意味があるのか理解できません。」と伝えてきた。今の作業が必要になった理由は話したはずだと思いつつ、改めて理由を説明したところ違和感はないらしい。
しかし話を進める中でAさんは、やっぱりもっと良い方法があるのではないのか?と考えてしまうとのことだった。
ふと考えた時、Aさんは今のプロジェクトが開始して最初の3ヶ月の混乱が終わった時に今のチームに参画したことを思い出した。
私はプロジェクトの最初の3ヶ月間に何が起こり、どうやって今の状態になったのか、詳しくAさんに伝えることにした。
それを聞いたAさんは、「もっと良い方法が他にあっても今は選ぶことが難しいし、今は今のやり方が最善だと思います。」と言ってくれるようになった。